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川に隣接する土壌は、硝酸塩汚染の大きな発生源です。

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名古屋大学の研究者らは、河川周辺の土壌に蓄積する硝酸塩が、降雨時に河川水中の硝酸塩濃度を上昇させる上で重要な役割を果たしていると報告した。この研究結果はBiogeoscience誌に掲載され、窒素汚染の削減と湖沼や沿岸水域などの下流域の水質改善に役立つ可能性がある。
硝酸塩は植物や植物プランクトンにとって重要な栄養素ですが、河川中の硝酸塩濃度が高いと水質が悪化し、富栄養化(水が栄養分で過剰に富化すること)を引き起こし、動物や人間の健康にリスクをもたらす可能性があります。雨が降ると河川の硝酸塩濃度が上昇することが知られていますが、その理由は明らかではありません。
雨が降ると硝酸塩が増加する仕組みについては、主に2つの説があります。1つは、大気中の硝酸塩が雨水に溶解して河川に直接流入するという説です。もう1つは、雨が降ると、河川に隣接する地域(河畔帯)の土壌中の硝酸塩が河川水に流入するという説です。
硝酸塩の発生源をさらに調査するため、環境学研究科の角貝うるむ教授率いる研究チームは、アジア大気汚染研究センターと共同で、硝酸塩中の窒素同位体と酸素同位体の組成変化と豪雨時の河川における硝酸塩濃度の上昇を分析する研究を実施しました。
過去の研究では、北西日本、新潟県加治川上流域の河川において、暴風雨時に硝酸塩濃度が著しく上昇することが報告されている。研究者らは、加治川流域の河川を含む、同川上流域の水サンプルを採取した。3回の暴風雨の間、自動サンプラーを用いて、24時間にわたり1時間ごとに流域の河川からサンプルを採取した。
研究チームは、川の水中の硝酸塩濃度と同位体組成を測定し、その結果を川の沿岸域の土壌中の硝酸塩濃度と同位体組成と比較しました。その結果、硝酸塩の大部分は雨水ではなく土壌に由来していることが分かりました。
「河川水位と地下水の上昇により沿岸土壌の硝酸塩が河川に流入することが、嵐の際に河川の硝酸塩濃度が上昇する主な原因であると結論付けました」と、研究の著者である名古屋大学の丁偉田博士は述べた。
研究チームは、大気中の硝酸塩が暴風雨時の硝酸塩フラックス増加に及ぼす影響についても分析しました。降水量の増加にもかかわらず、河川水中の大気中の硝酸塩含有量は変化せず、これは大気中の硝酸塩の発生源がわずかながら影響を与えていることを示唆しています。
研究者たちはまた、沿岸土壌の硝酸塩が土壌微生物によって生成されることを発見しました。「日本では、微生物由来の硝酸塩が沿岸土壌に蓄積するのは夏と秋のみだと考えられています」と角貝教授は説明します。「この観点から、降雨による河川の硝酸塩の増加は、これらの季節にのみ発生すると予測できます。」
参考文献:Dean W、Tsunogai W、Nakagawa F、他「森林の小川における硝酸塩の発生源を追跡したところ、暴風雨の際に濃度が上昇していたことが示された。」Biogeoscience. 2022;19(13):3247-3261. doi: 10.5194/bg-19-3247-2022
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投稿日時: 2022年10月11日